今回紹介する機器はFiioから発売されたUSBDAC K3ESです。PCやスマホの音楽を高音質で聴くために必須なUSBDACです。
Fiio K3ESはヘッドホンを繋ぐだけではなく、コアキシャル接続やSPDIFを搭載し、据え置きのオーディオ機器に接続できる多機能なUSBDAC。
Apple MusicやAmazonmusicをアクティブスピーカーやコンポに接続して聴きたいと言う方にはおすすめな USBDACです。
- PC・Mac・IOS・Windowsの音声を高音質で聴きたい
- SPDIFやcoaxialのデジタタル出力が欲しい
- デスクトップに置く小形アンプが欲しい
Fiio K3ES USB-DAC レビュー
Fiio K3ES
K3ESの特徴
- ES9038Q2M DACチップ採用
- 最大384kHz/32bitのPCMデータおよび11.2MHzのDSD再生
- オペアンプ OPA926 を採用
- ギャング・エラーを一掃した電子ボリューム
- フルバランス2.5mmバランス出力
- 2段階のゲイン調整機能およびBass Boost機能を搭載
- 電源フィルターおよび過電圧防止機能付きのUSB Type-C端子を搭載
- UAC1.0 2.0切り替え機能
- SPDIFとcoaxial端子を搭載
- 強めで前に押し出すような音質
- 豊富な出力端子
- 2.5mmバランス接続対応
- パスパワー駆動
- 繊細さに欠ける
- 音楽に立体感がない
- ゲーム機に対応していない
- 付属ケーブルがUSB A to B
スペックと付属品
- サンプリング周波数:384kHz/32bit, DSD256
- SPDIF出力:96kHz 32Bit
- coaxial:PCM192kHz/32bit, DSD64(DOP出力)
- 幅x高さx奥行 70.2 × 58 × 22mm
- 重量 82g
- USB-A to Bケーブル
- USB-C
- 電源兼ボリュームノブ
- BASS調整スイッチ
- UAC切り替えスイッチ
- 3.5mmイヤホン端子
- 2.5mmアンバランスイヤホン端子
- 3.5mm line-out
- SPDIF
- coaxial
- Windows10
- M1 Mac
- IpadPro 12.9 2018
- HUAWEI Mate20Pro
Windows10はUSBに差し込むだけで認識しますが、Fiioアプリをインストールした方が動作が安定します。
Fiioアプリは【Fiioサポートページ】でダウンロードできます。
前機種 Fiio K3とK3ESの違い
今回のモデルは旭化成からESSに変更になりました。私は全機種のK3は聴いたことはないので比較はできません。
旭化成からESSに変えるとノイズが少し減ったようなスペックになります。
model | K3ES | K3 |
DAC | ES9038Q2M | AK4452 |
output | PO 120mW(32Ω) BAL 200mW | PO 120mW(32Ω) BAL 200mW |
SNR | PO 121bBr BAL 120dBr LO 121dBr | PO 121bBr BAL 112.5dBr LO 114dBr |
Noise | PO 4μV BAL 6μV LO 3μV | PO 8μV BAL 12μV LO 7μV |
THD +N | 0.002% | 0.004% |
Digital to Digital Donverterです。
PCのデジタル信号とオーディオ用のデジタル信号は違う種類なので変換が必要になります。
PCのdigitalからオーディオのdigitalに変換するのでDDCと言います。
SPDIF coaxial共に入力と出力が決まっていてテレビや今回のK3ESには出力端子がついてます。
私の持っているKEF XLSにSPDIF入力端子がるのでそこに接続します。
他のUSBDDCの記事はこちら
AUDINST HUD-mini レビュー PS5に繋げるUSBDAC+USBDDC+ヘッドホンアンプ動作確認した機器
- MacBook Air M1
- IpadPro 12.9 2018
- HUAWEI Mate20Pro
- Windows10 自作PC
Macやスマホに繋げるときはUSB-C to Cのケーブルが必要になります。
ゲーム機は動作しない
ゲーム機にUSBDACをつなぐ条件は厳しく、一般的にUAC1.0の対応が必須と言われている。そしてこのFiio K3ESはUSC1.0に対応しているのだ。そして期待しながらPS5とNintendo SwitchにUAC1.0で接続したけど全く反応せず…
以前Fiio BTR5と言うBluetoothコンバーターもUAC1.0のモードでPS5とSwitch共に認識しなかったのだが、恐らくXMOS系のUSBコントローラーが関係していて、チップセット内のドライバーがゲーム機に対応しないと動かないようだ。
K3ESの外部出力は何に使う?
ヘッドホン以外に使わない!と言う方には多機能すぎて勿体無いですが、外部出力があると今後のオーディオライフを充実させることができます。
私はKEF LSXと言うアクティブスピーカーを持っているのでK3ESのSPDIFから繋げてApple Musicを聴きましたが音質は非常に満足でK3ESとLSXの組み合わせは最適と感じました。
アクティブスピーカーはアンプ内蔵のスピーカーです。
アンプを内蔵しているのでK3ESとLineもしくはSPDIFで繋げるだけで音声が出ます。
アクティブじゃないスピーカーはパッシブスピーカーです。別にアンプが必要になります。
Fiio K3ESをA&K PEE51と比較して音質確認
使用する機器
- ヘッドホン:SONY MDR-M1ST
- イヤホン:MoonDrop KXXS
- 比較DAC:A&K PEE51
多機能のDACでAudinst HUD-miniも持っているのですが10年前のDACなので比較対象としては不利かと思い、近い価格のAstell&Kern PEE51と音質比較していきます。
SONY MDR-M1ST
IPad Pro12.9 にUSBケーブルで接続しApple Musicで試聴。
1音1音に勢いがあって前に迫り出すように聞こえる。迫力あり躍動感を感じる音楽に聞こえる。ESS系のDACのイメージは寒色系の繊細さはあるけど空間の狭い傾向があると思ってたけど全く違う音質だった。
BASS設定はLOWを選んでいますが十分低音は出ている。
Apple Musicで色々聞いてみましたがK3ESは全体的な迫力があり楽器やボーカルの勢いを感じますが音の立体感が少なく荒い印象でした。
PEE51に切り替えると音の出し方が繊細になるのでアタック感は失われますが1音1音の立体感が増して聴こえました。音楽を聴くならPEE51の方が音に浸れる感じがします。
音楽専用で外部出力は使わないならPEE51の方が良いです。
ただNetflixやAmazonPrimeで映画を観るとK3ESの迫力が活きてきます。爆発音や銃声などアクション映画の激しさが増して臨場感が出てきました。
【MDR-M1STレビュー】音楽以外にどんな使い方がおすすめ?ゲーム・テレビ・映画で使用してみた。
MoonDrop KXXS
MoonDrop KXXSはデザイン音質とも良く中高音に強みのあるイヤホンです。
イヤホンはヘッドホンに比べて空間は狭くなりますが、音が近いのでボーカルの息遣いや弦の弾く音が楽しめるので使い分けると楽しいです。
聴こえ方の傾向はMDR-M1STと同様で全体的に迫力のある音を聴かせてくれます。KXXSは低音が僅かに引っ込みがちですがK3ESで聴いていると引っ込んでいるようには感じません。K3ESがKXXSの性能を引き出しているのでしょうか。
ただずっと真夜中でいいのにの「あいつら全員同窓会」はボーカルの方の息遣いを感じられる曲なのですが、そう言った繊細さはK3ESでは出しきれないと感じます。
PEE51に切り替えると低音は弱くなりドラムの力強さや迫力は無くなりおとなしい印象になります。
KXXSの本来の性能が活きてきて中高音の繊細さとボーカルの近を感じられるようになりました。ボーカルを聴くにはPEE51の方が合うのかもしれません。
PEE 51の欠点は音質面ではなく操作ボタンが全くない所です。Android機ではボリュームボタンを1クリックするだけで7上がるので微妙なボリューム調整ができません。IOS・Android OSは本体側面のボタンでボリューム変更するのではなく、スワイプして出したソフトウェアボリュームで変更しましょう。
K3ESは細かいボリューム調整が最大のメリットになります。
- 迫力のある音
- PC以外にテレビやオーディオ機器につなげたい
- 古いオーディオ機器が眠っている
- ヘッドホンアンプとしては音質はいまいち
coaxial接続とSPDIF接続を音質比較
ヘッドホンアンプの音質としてはイマイチでしたが、K3ESの売りの機能はDDC(デジタルデジタルコンバーター)になります。
そこでデジタル入力のあるアンプにK3ESを繋げてcoaxialとSPDIFの違いを検証していきます。Apple Musicのロスレス音源をUSB接続で再生しました。
接続機器
- USBDAC:RME ADI-2FS
- イヤホン:MoonDrop KXXS
- ヘッドホン:FINAL D8000
- 比較DAC:HUD-Mini
RMEは業務用オーディオミキサーのメーカーでマニアに人気のUSBDACを販売しています。ADI-2FSはK3ESやHUD-miniからSPDIFに接続しても性能をそのまま発揮できると思います。
coaxialケーブルはオーディオテクニカの5千円くらいのケーブルを使用(型番忘れた)
coaxialとSPDIFの音質
まずはcoaxial接続で試聴。
全体的に音の分離感があり複数の楽器が混ざり合うことなく聞こえてきます。イヤホンなので空間が広いわけでわないのですがしっかり分離してます。
KXXSは低域が強く出るイヤホンではないのですが、低音の深いところまで出ていてボワつくことのない太い音を出しています。
中域のボーカルと楽器の分離感も近いのですがしっかり聞き分けられて音楽を聴いていて楽しくなります。
高域のハイハットの響きも響いていながら刺さることがない心地よい高域を聞かせてくれます。
ここでSPDIFに切り替えました。
SPDIFはcoaxialに比べて低域の落ち込みと太さが若干弱く感じます。中域の違いはあまり感じず、ボーカルと楽器の立体感も有りました。高域も音の芯が弱い様に感じますがそこまでの違いは感じませんでした。
若干ですがcoaxialで繋いだ方が音質的に良いです。
SPDIF接続時の音質をHUD-Miniと比較
HUD-miniは10年前のDACでUAC1.0でK3ESはUAC2.0で再生しました。
HUD-Miniに切り替えると低域の深い部分と太さが感じません。音の分離感があり立体感も感じます。高域部は派手さが無くなり線が細い音に聴こえます。
外部出力はK3ESでcoaxial接続が音質的に1番良いと感じました。
AUDINST HUD-mini レビュー PS5に繋げるUSBDAC+USBDDC+ヘッドホンアンプ
Fiio K3ESレビュー DACだけじゃないDDC Line出力も出来る ヘッドホンアンプのまとめ
Fiio K3ES
K3ESの特徴
- ES9038Q2M DACチップ採用
- 最大384kHz/32bitのPCMデータおよび11.2MHzのDSD再生
- オペアンプ OPA926 を採用
- ギャング・エラーを一掃した電子ボリューム
- フルバランス2.5mmバランス出力
- 2段階のゲイン調整機能およびBass Boost機能を搭載
- 電源フィルターおよび過電圧防止機能付きのUSB Type-C端子を搭載
- UAC1.0 2.0切り替え機能
- SPDIFとcoaxial端子を搭載
- 強めで前に押し出すような音質
- 豊富な出力端子
- 2.5mmバランス接続対応
- パスパワー駆動
- 繊細さに欠ける
- 音楽に立体感がない
- ゲーム機に対応していない
- 付属ケーブルがUSB A to B
こんな方におすすめ
- 音楽だけではなく映画にも使いたい
- 迫力ある音が好き
- オーディオ機器とPC スマホを接続したい
今回はFiio K3ESのレビューでした。
ヘッドホンアンプのみの機能だと音質はイマイチでしたが、coaxialとSPDIF接続時の音質は価格の割に優秀でした。
据え置きのオーディオと接続用に購入するのは有りかと思います。
ヘッドホンアンプのみに使うにはもったいないDACなので、アクティブスピーカーを持っている方やオーディオアンプを持っている方は良いと思います。
ではまた!