今回紹介するのはFostex のヘッドホンFostex T60RPです。ヘッドホン好きなら誰でも知っているFostexのエントリーモデル。
T60RPのレビュー記事を見ていると、「価格以上の音質」とか「鳴らしにくく据え置きアンプ必須」と言われていて、どのくらい鳴らしにくいのか試してみたい!と言うことで購入しました。
スマホ用USBDACでも鳴らせるのか?検証しつつ、3.5mmのリケーブルを試しました。
「鳴らしにくいなら買わない」と思っているあなたは、良いヘッドホンを見逃しているかもしれませんよ?

Fostex T60RP

- フォステクスの駆動型振動板を搭載
- 録音現場で認められたクオリティをリスニング用途に再調整
- アフリカンマホガニーのハウジング
- 低反発アラウンドイヤー型イヤーパッドを採用
- バランス接続対応
- スマホ用アンプでも十分鳴らせる
- 密度の高い中高音
- しっかりした脳内定位
- 横に広い解放感
- 3.5mm4極バランス対応
- デザインがダサい
- 付属ケーブルの長さと取り回しの悪さ
Fostexとは?
Fostex(フォステックス)と言う名前を知らない方でも、今着けているイヤホンやヘッドホンはFostex製かもしれません。
Fostexはイヤホンやヘッドホンのドライバー部を製造している数少ないドライバーメーカーです。1973年に音響機器専業メーカーとして40年以上オーディオ機器を作っている歴史ある会社です。
Fostex?、なんて言ってもドライバーの製造はFostexかもしれません。
Fostex T60RP レビュー
- 仕様:セミオープンダイナミック
- 再生周波数帯域:15~35,000Hz
- ハウジング:アフリカンマホガニー
- ドライバー:平面型RP振動板

- 1.5mケーブル
- 3.6mm to 5.3mm変換アダプター

- 3.5mm4極 to 3.5mm3極

外観レビュー
全体的に木造りですが柔らかみはありますが高級感は無し。デザインもゴテゴテしすぎてスタイリッシュなデザインではないです。オイルフィニッシュまでは言いませんがTH600みたいなデザインにして欲しかった。


イヤーパッド部は合皮ですが肌触りも良く長時間装着しても快適に使えました。替えのイヤーパッドも安価に買えるので長期で使えて良いです。


ヘッドパッドは2柔構造になっていて頭部に当たる部分は太めの革のような材質です。ゴムの様な伸縮性はないですが柔らかい素材で頭にフィットする構造。頭頂部が痛くなることはない。


位置合わせ用のスライダーも作り2本の金属がしっかりしていて壊れる心配も無さそう。


ケーブル差し込み口は奥まっていますが、穴は大きくリケーブルもし易い。後述しますがSony MDR-1系のケーブルが使えます。

付属品
付属品は3.5mm 1.5mのケーブル・6.3の変換アダプター・収納袋です。
屋内使用がメインの半開放ヘッドホンならもう少し長めのケーブルをつけて欲しかったです。ケーブルにコシがあり取り回しは悪いですが音質は非常に良くてリケーブルは必要ないかな?


エージングは必須
箱出ししてIbasso DX300で聴き始めましたが、3,000円のヘッドホンのような音質です。音全体がざらついていて聴いていられない音質。例えるならyoasobiの生田りらさんが風邪をひきながら歌っている感じでした。
この音質なら 1万円のヘッドホンの方が良いと思っていましたが、10時間ほど鳴らしていると全く違う音に変貌しました。
20時間くらいで音が安定してきて全体的に音がクリアになってきました。脳内定位がしっかりして空間も広がってきたのでエージング必須です。
平面駆動の音質は鳴らしにくい?
使用時の環境
今回は鳴らしにくさの検証のためにUSB-Cのポータブルアンプ中心に検証していきます。
- Ibasso DX300
- Ibasso DC03
- A&K PEE51
- Lotoo Paw S1
DX300はデジタル部とアナログ部の2種類のバッテリーを搭載していてDAPの中ではハイパワーな部類です。イヤホン使用時はローゲインで使っていますがヘッドホンだとボリュームが足りなくなります。
T60RPでちょうど良い音量を取る場合はハイゲインでボリュームは50%くらい必要でした。確かにアンプは必須かも。


音場の広さと高域のキラキラ感が良い
使用しているドライバーはモニターヘッドホン用として販売しているT50mk3と同じ作りです。T60RPの場合はイヤーパッドの厚さ・ヘッドホン部が木製の違いがあります。
元がモニターヘッドホンだけあってカチッとした音ですがイヤーパッドで空間が広がりを持たせ木製の響きで若干柔らかく仕上げているのかと思います。


ボーカルが脳の中心で歌っていて心地よいです。ドライバー部が頭に対して平行に配置されているようでそのおかげで脳内定位がビシッと決まるのだと思います。
ステレオ音源ではギターやベースが左右の距離があり、ボーカルが中心に聞こえるのでステレオ感が出ています。
中高音の鳴り方は平面駆動型ヘッドホンの特徴通りで響き方が素晴らしく、過去に使っていたHifiman ANANDAも同様の特徴でした。
ANANDAは完全開放で空間が広いですが低域が弱かったですが、T60RPは半開放で空間は広くないですが低域はしっかり聞こえてきます。
ボーカルは女性男性共に綺麗に聞こえています。
確かに価格以上の音質に感じる音質だと感じました。T60RPって完璧なヘッドホン?
欠点はないの?
T60RPだけを聴いていると、このヘッドホンだけでいいのでは?と思いましたがあえてfinal D8000と比較してみます。
D8000も平面駆動型のヘッドホンですが価格は10倍。
D8000は低音の太さが全く違います。空間が広くて低域がしっかり太く出ているのは D8000の特徴で、他の平面駆動型では出せない低音です。特にベースやドラムの太さが全く違いました。
ただ3万円でこの音質なら満足できる。

小型USB DACで鳴らせるか?
価格コムやブログで鳴らしにくいと言う意見が多いT60RPですがどれだけ鳴らしにくいのか?
Google Pixel5a5G
まずはスマホからチェック。Pixel5a5gを使用。ボリュームは100%でちょうど良い音量です。ギリ音量は取れますがT60RPの音質は発揮できていないです。音の密度が足りなく楽器の響きが無い。

Ibasso DC03
5000円くらいで購入できる小型のDACです。スマホのボリューム70%くらいで十分な音量が取れました。音質的にはT60RPの特徴をしっかり出していて、中高音のキラキラ感が出てきました。スマホ直挿しに比べて楽しく音楽が聴けます。


iriver A&K PEE51
高級DAPのトップメーカーが2021年に発売した小型DAC PEE51も試してみました。力強さは無いものの繊細さは心地いいUSBDACです。
スマホのボリューム60%くらいで十分な音量が取れます。
DC03に比べて音の濃さが出てきて楽器の立体感が出てきました。空間の広さも出てきてスマホの代わりではなくDAPとしての力を発揮できています。T60RPの中高域を活かせる音質です。
PEE51なら満足できる音質で楽しめます。


Lotoo Paw S1
Paw S1はハイゲインとローゲインが選択できます。本体側にもボリュームが付いているので操作もしやすく液晶表示で確認もできる良いDACです。
スマホ側のボリュームは100で設定。S1側のボリュームはローゲインなら95、ハイゲインなら65で十分な音量でした。
音質はPEE51に比べても立体感が出てきて低音の量感が増してきました。
小型DACとしては高価ですがLotoo PawS1を購入してから5万円以下のDAPはいらないと感じています。


T60RPのリケーブルについて
結果から言うとSonyのMDR-M1STのケーブルがそのまま使えました。注意点はヘッドホン側のケーブルの差し込み口が奥まっているので太さに注意が必要です。9mm以下のケーブルを使ってください。
SonyのキンバーケーブルMUC-S12SB1も使えました。
付属のアンバランスケーブルに比べると低音が響きすぎな感じです。T60RP付属のケーブルが音質良すぎてリケーブルは必要ないかもしれない。


Fostex T60RPレビュー 小型DACでも鳴らせる脳内定位が気持ち良い平面駆動ヘッドホンのまとめ
Fostex T60RP

- フォステクスの駆動型振動板を搭載
- 録音現場で認められたクオリティをリスニング用途に再調整
- アフリカンマホガニーのハウジング
- 低反発アラウンドイヤー型イヤーパッドを採用
- バランス接続対応
- スマホ用アンプでも十分鳴らせる
- 密度の高い中高音
- しっかりした脳内定位
- 横に広い解放感
- 3.5mm4極バランス対応
- デザインがダサい
- 付属ケーブルの長さと取り回しの悪さ
Fostex T60RPのおすすめの方
- コスパの高いヘッドホンが欲しい
- 中高音が綺麗
- 小型DACで運用したい
「1本だけリスニングに最適なヘッドホンが欲しい」と言う方には絶対的におすすめ出来ます。鳴らしにくさはありますがスマホと小型DACでも鳴らせるヘッドホンなので気軽に聴くこともできます。
半開放型なので公共機関で使うことはないと思いますが自宅使用や散歩用に 1台持っていて損はないです。